再生陶土の開発
有田焼の原料である天草陶土は世界で唯一、添加物を加えずとも単味で磁器化する陶土です。その埋蔵量は数百万トンと言われており、今すぐ枯渇するものではありません。
しかし、地球がもたらした天然の原料を使わせていただいているという意識を忘れたくない。自然に対する敬意を払ったモノづくりの姿勢を形にする手段のひとつとして製造工程で出た売り物にならないB品などを粉砕して再利用。また、白さを求める産地としては使い道が少ない縞石と呼ばれる鉄分を多く含んだ陶石を使用した再生陶土を産地内で初めて開発しました。
使えないもの
有田焼など焼き物の多くは天然の原料を使用しているが故に意図せず割れたり、黒点が現れます。これらはB品として扱われ、販売できないものは産廃として処分されています。この現状に違和感を覚え、粉砕して再利用することにしました。
使われないもの
有田焼といえばまっさらな白。というイメージを想像しますが、これは陶石の鉱脈のなかでも限られた場所の石だったり、処理を重ね白くする場合もあります。そんな中、鉄分を多く含んでいるが故に産地ではあまり使われない石(縞石)に着目しました。手間をかけて白くされたお皿も良いですが、素材の魅力の捉え方は様々で鉄分が多いのも個性の一つ。弾かれるものをあえて使用し、風合い豊かな素材の表情を目指しました。